ハンバーガーってなんであんなに美味しいんだろう
昼食に出ようとエレベーターに乗ると、ふっと体が浮く感覚を覚えたと同時に、エレベーター内の灯りが消えた。驚いて操作盤を見ると、非常ボタンのみがぼんやりと灯っている。乗り合わせた知らない男性たちと、驚きましたね、停電でしょうかと声をかけながら、どうしたものかしばし考えた。

恐らく私たちが乗り込む直前に利用した人が、有名ハンバーガーチェーンのハンバーガーをテイクアウトしてきたのだろう。エレベーター内にはそのハンバーガー店のポテトフライの匂いが残っていた。1人の人が非常電話でエレベーター会社に連絡をしている間に、私ともう一人の男性は、ポテトフライの匂いがわかるかどうか、確認し合った。

目が慣れてくると、ぼんやりと相手の表情さえわかるようになった。エレベーターの復旧を待つ間、閉塞感に自分が不安にならないよう、つとめて明るくふるまうよう知らない相手に話しかけた。これから昼食に出ようと言う時に散々な目に合っている。この状況でポテトフライの匂いは酷だ。ハンバーガーってなんであんなに美味しいんだろう。知らない相手でも、共通の意見があるとそれだけでぐっと距離が縮まる気がするものだ。狭い空間に閉じ込められ他人同士、せめて気持ちが近づけば、他人であるという拒否感も和らぐというものだろうか。

今日のランチは、ビルから出て数軒先の角にある、立ち食いそば屋で済まそうと思っていた。同乗の他の人も、コンビニでサンドウィッチでも買ってこようと思っていたとか、とんかつ屋に行くつもりだったというが、みな揃って、今日このエレベーターから出られたら、まっすぐハンバーガーチェーン店にハンバーガーを買いに行くという意見で一致した。